目次
さまざまな種類がある高齢者施設のうち、10万棟以上ある有料老人ホーム、その中で介護付有料老人ホームが3割以上を占めています。
介護付有料老人ホームとは?
介護付有料老人ホームの特徴とメリット・デメリットにはいったいどのようなものがあるでしょうか。
介護付有料老人ホームの特徴は?
介護付有料老人ホームは、主に民間の事業者により運営されており、都道府県の「特定施設入所者生活介護サービス施設」の指定を受けた施設で、「特定施設」と呼ばれています。入居者のかたへ、食事や掃除などの生活支援、身体の介護、健康管理・医療行為・緊急対応、リハビリテーションなど通常の介護サービスだけではなく、レクリエーション・イベントやサークル活動など、幅広いサービスを提供しています。施設にいるケアマネジャーが入居者の身体の状態や要望を確認しながら介護サービス計画(ケアプラン)を立てます。したがって、提供されるサービスは、その入居者自身のニーズに沿ったものとなります。
介護付有料老人ホームは「介護専用型」と「混合型」の2種類があります。「介護専用型」は要介護者のみを受け入れますが、「混合型」は要支援者も受け入れています。夫婦で入居する際に、どちらか一方が要介護でもう一方が自立の場合は、「介護専用型」の施設には入居できませんが、「混合型」の施設であれば同じタイミングで入居が可能になります。
提供するサービスは、どちらのタイプの介護付老人ホームでも、入居される方の要介護度に幅があることから、サービスの幅があります。入居費用については、たいてい入居一時金と月額利用料が必要となり、入居一時金が0~数千万円、場合によって数億円、月額利用料は介護度によって定められているものの、だいたい10~50万円程度となっています。高額な施設は、なぜ高額なのかの例を言いますと、スタッフの人員体制が手厚く配備されていたり、共用の設備として温泉、プールやアスレチックジムなどがついていたり、診療所が作られて医師が常駐していたりと、充実したサービスを提供して差別化を図っていたりするからです。これらの費用はサービスと同じように施設によって異なるため、入居前にしっかりと確認しておきましょう。
介護付有料老人ホームで提供されるサービスにはどんなものが?
提供されるサービスとしては、上述したように食事、掃除などの生活支援、身体介護、リハビリテーション、レクリエーションやイベントなどがあります。
- 食事
- 生活支援(家事サービスや買い物代行)
- 身体介護
- リハビリテーション
- 健康管理・医療行為・緊急対応
- レクリエーションやイベント
食事は入居者にとって日々の楽しみの一つであり、もちろん健康管理の重要な要素です。栄養バランスは当然チェックされており、季節に応じて旬の素材を使ったメニューや正月、ひな祭り、クリスマスなどの年中行事など、季節感を出すことにより、入居者に楽しんでもらえるような工夫がされています。入居者にとって、嫌いな食材は好みのものに変更したりと、個人個人の嗜好にもできる限り対応してくれ、噛む力咀嚼する力に合わせて食材を刻んだり、とろみを持たせたり、塩分やカロリー制限などの医療食にも対応してくれます。また、マグロの解体ショーとともにお寿司を提供したり、お祭りの季節には屋台を再現したりと、イベントと絡めて日常と違う食事を楽しむ企画を行われているところも多いです。
居室空間の掃除だけでなく洗濯などの家事サービスや、スーパーへの買い物や行政手続きなどを代行するサービス、本人が不在の時の居室管理、病院へ入院されている期間に病室へ洗濯物や必要品の購入や配達なども提供されています。
介護が必要な入居者に対しては、食事・入浴・排せつ時の介助や機能訓練などを行います。介護度の重さ・認知症の有無といった入居者の身体状況に応じ、残っている身体能力を引き出す工夫を入れながら、自立支援に向けた介護が提供されています。
現在の身体機能や認知機能を低下させないようにリハビリテーションが提供されています。リハビリテーション専門職である理学療法士、作業療法士により、器具を用いた歩行訓練や筋力強化、嚥下機能の維持・改善に向けた口腔体操などといったメニューがあり、日常生活における自立を促します。それから、脳トレや音楽療法、園芸療法などを取り入れることにより、認知機能が低下しないようにするカリキュラムを提供しています。
介護付有料老人ホームでは、看護師が少なくとも昼間は常駐していますので、検温や血圧のチェック、服薬管理などの日常の健康管理だけでなく、じょくそうなどの皮膚疾患や軽いケガなどに対する処置が行われます。また、協力している医療機関と連携して定期的な健康診断や訪問診療も行われており、内科や歯科の場合は定期的な医師の診断を受ける機会が提供されています。医療機関では、胃ろうなどの経管栄養、尿バルーンや人工肛門等の管理、在宅酸素の管理などの医療行為も行われますが、夜間については、看護師の勤務時間によって痰の吸引や食事前のインシュリン注射などの医療行為が対応できるかどうか変わってきます。夜間の緊急時には、看護師が勤務時間外の場合はコール体制を整え、医療機関に搬送するなどの対応を行います。
スタッフの企画による、ゲーム・カラオケ、運動、手芸といったものから、専門の講師を外部から招いた本格的な教室まで、日々の単調な生活にリズムを与えるような工夫が提供されています。これらは身体の機能や認知機能を低下しないようにとリハビリに近い目的のものもあります。また、季節に応じてお花見や夏祭り、紅葉狩りに餅つきなどのイベントも行われたり、小旅行やお買い物ツアーなどが企画されたりするところもあります。
介護付有料老人ホームのメリットは?
介護付有料老人ホームでの主なメリットには以下のようなものがあります。
- 24時間体制での介護
- 介護以外も充実(レクリエーションや共用施設など)
- 重度の要介護の場合も利用可能
- 料金は介護度による定額制
介護付有料老人ホームは、施設で介護を受けることができます。24時間スタッフが常駐しているため、夜中に体の具合が急に悪くなったりした場合でも対応してもらえます。また、看護師が日中あるいは24時間常駐している施設もあります。
介護以外のサービスとしては、施設にいるスタッフにより創意工夫されたレクリエーションやサークル活動、季節行事といった介護以外のものも含まれています。そのような活動を行うことで、入居者同士の交流を促進したり、認知症の進行を予防したり、身体的・精神的な疲労の回復を促したり、といったような効果を生むことを期待されて提供されています。また、アトリエや陶芸室、温水プール、テニスコートといった共用設備も充実していることが多いので、自分の気に入る設備があるかどうか確認しましょう。
介護付有料老人ホームは基本的には終身利用で、要支援1~要介護5まで幅広く入居希望者を受け入れています。重度の認知症や要介護者だけでなく、入所されている途中で介護度が変わった場合でも利用し続けることができます。もし入居中に要介護5という重い身体状況になってもサービスは受けられますので、終の棲家の候補として有力な施設になります。
料金は介護度に応じて定められておりますので、月額利用料について大きく変更されることはありません。また、介護度が変わらなければ、たとえ介護サービスを多く利用したとしても月額利用料は変わりません。
介護付有料老人ホームのデメリットは?
もちろん前述したメリット以外に、デメリットもあります。
- 介護サービスを利用しない人は損!
- 外部のサービスは利用不可
- 費用が想定より高額になる場合がある
介護サービスをあまり利用しない場合であっても、月額利用料は介護度による定額性であるため、利用しない人は利用しないサービス分を余分に支払っていることになり、損に感じてしまうかもしれません。
たとえ、入居者の希望があっても、外部のデイサービスや訪問リハビリなどといった在宅向けのサービスは利用できないことが多いです。契約前にしっかり確認しておきましょう。
介護付有料老人ホームは介護サービスだけでなく、その他の各種サービスも提供していることから、公共型施設より費用がかかる場合があります。でも、最近は入居一時金を無料としている介護付有料老人ホームも増えてきているので、しっかり調べて予算に合った施設を探すようにしましょう。
介護付有料老人ホーム説明のまとめ
介護付有料老人ホームは提供されるサービスの幅が広く、また、重度の要介護者であっても入居できることから、とても人気が高い介護施設です。上述したようにメリットだけでなく、デメリットもありますので、入居を検討する際に事前によく調べ、自分に合った施設かどうかを見極められるようしっかりと比較検討しましょう。
日本全国の介護付有料老人ホームは「みんなの介護」介護付有料老人ホーム検索で探すことができます。
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